あるもりのなかで

静かな森の中でキャンバスに向かう睦月。



ふと、騒がしさに目を上げるとそこにはスミレが立っている。

再びキャンバスに目を落とす睦月の隣に座る。



・・・しばしの沈黙・・・



不意に、ぽんぽんっ、と睦月の肩をたたき、そしてゆっくり目を閉じる・・・

それをみて、少し微笑んで、同じようにそっと目を閉じる睦月。

たかなる鼓動・・・二人はそっと唇を寄せる。

口付けが交わされる・・・瞬間。
全力疾走してくるすわパンチ!!・・・ムードぶち壊し。



・・・真っ赤になってうつむく二人・・・走り去るすわパンチ。

照れ隠しに、キャンバスを覗き込むスミレ。

すると、その絵の端には、「for Sumire」の文字が。

少しの驚きとともに、睦月の顔を見上げる・・・

・・・そして、今度こそ、の意気を込めて、ゆっくり目を閉じるスミレ・・・

そして、それに答え、すこし微笑んでからそっと目を閉じる睦月・・・


黒ミミウサギ隊長「スミレ様ー!!どこにいるんですかー!!おやつの時間ですよ~!!きょうは奮発してスミレ様の大好きな特大肉まんですよ~!!」

・・・またもやムード台無し。


さっきよりも真っ赤になって、立ち去ろうとするスミレ。

睦月は、スミレを引きとめ、「for Sumire」の絵を手渡し、ほほにそっとキスをする・・・

これ以上に無いほど真っ赤な顔で走り去るスミレ。誰にも聞こえないような声で、ありがと、を言って・・・


黒ミミウサギ隊長「どうしたんですか?スミレ様。さっきから顔が緩みっぱなしですよ?」

一応、黒ミミウサギ隊長を叩いてから、ほほに手をあて、ゆっくりと目を閉じるのでした・・・




この絵は、約束・・・
あの森が、この絵の色に重なるようになったら・・・また会おう・・・っていう・・・


© Rakuten Group, Inc.